つきしろ工房

小根付、帯飾りの紐の通し方

帯飾りや小根付に付けてある根付紐は消耗品です。使っていて擦り切れてきて新しい紐に付け替える時や、購入時に付いていた根付紐とは別の紐に付け替える時に苦労をした経験のある方は多いのではないでしょうか。

小さな穴に、輪になった根付紐を通す方法をご説明します。帯飾りではなく小根付を使って説明してあります。

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適当な長さ(10cmくらい)の
テグスを用意します。

テグスは手芸屋さんや
100円ショップのビーズコーナーなどで
手に入ります。

テグスを小根付の紐の輪の部分に
通します。

テグスを2本合わせて
小根付の穴に通します。

そのままテグスを引っ張り
小根付の紐を穴に通します。

  
ポイントは、テグスを使うこと。

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言われてみれば「なぁんだ。」という方法かもしれませんし、既にご存知の方のほうが多いかもしれませんが、ご存じない方は、どうぞお試しください。

帯締め 二分紐、三分紐、五分紐

帯締めは、帯が解けないように、帯の上に締める細い紐です。江戸末期までは、帯締めは使われず、帯のみで締めていましたが、江戸末期の文化年間に使われ始めたそうです。当時の帯締めには、腰紐やしごき、真田紐、刀の下緒(さげお)が使われていたそうで、現在のように組み紐が帯締めとして広く普及したのは明治に入ってからのことだそうです。

通常、帯締めの種類と言いますと、平組、丸組、角組、丸ぐけなどの組み方で分けられますが、太さで分けると、細紐、二分紐、三分紐、四分紐、五分紐などといった分け方になります。

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Photo_3帯留めを使わずに帯を締めるときは、一般的には五分の太さの帯締めを使います。

帯留めを使うときの帯締めは、現在は、一般的には三分紐が使われています。三分紐は、五分紐より数ミリほど細い帯締めです。

しかし、昔は、帯留めを使うときに締める帯締めには、二分紐や四分紐、中には二分5厘紐などという帯締めも使われていたようです。

四分紐、三分紐、二分紐の「分」は尺貫法で、1寸の10分の1の大きさの単位のことです。メートル法に直すと、1分は約3mmです。

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帯締めには、機械組みのものと手組みのものとがあります。

現在、流通している組紐は、手組みが少なくなっていて、8割ほどは機械組みだという話を聞いたことがあります。

手組みのものは、機械組みのものに比べるとお値段はかさみますが、手組みのものは、作り手の熟練の経験と勘によって 微妙な「加減」というものを作り出すことが出来るため、しなやかで締めやすく、丈夫な作りとなっています。締めてこそ、その差を感じることが出来るような気がしています。

つきしろ工房の三分紐用の帯留めの紐通しは、手組みの三分紐が通る太さに作ってあります。

帯留めの紐の通し方

帯留めは、帯締めに通して使います。
帯締めは、組まれた紐で両端に房が付いています。
帯留め用のもは、普通の帯締めより房が短くなっていますが、それでも、房のある紐を帯留めの紐通しに通すには、通し方を知らないと、ちょっと苦労することがあります。

帯留めに帯締めを通す方法をご紹介したいと思います。

Photo 用意するもの  
 ・帯留め
 ・帯締め
 ・和紙などの
    縦方向に強い繊維の薄い紙

   注意: 帯締めは、
  一般的には三分紐ですが、
   アンティークなどは、 
  三分紐では通らないものもあります。
  帯留めの紐通しの太さに合ったものを
   ご用意ください。

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通し方

Photo_2帯締めの房を整えて、用意した薄い紙で巻いて
房より先を紙縒り(こより)状にします。

紙縒りの部分を帯留めの紐通しに通し、ゆっくりと紙を紐ごと引き抜きます。

右の図は、
画像クリックで大きな画像が開きますので、参考になさってください。

薄紙を使わずに、房ごとそのまま紐通しに押し込もうとすると、房がぼさぼさになってしまうだけでなく、房が穴につかえて、合った太さの紐であっても通すことが出来ないことがあります。

帯留めの紐通しは、帯締めを通しやすいようにゆるく作ってしまうと、着用中に、帯留めが左右に動いてずれてしまうことがあります。

帯締めを通すのに無理のない太さに作ってありますが、さほど緩めには作ってありませんので、帯留めを通す時は、この方法で通していただけると、帯締めの房をいためることもなく、楽に通すことが出来ると思います。

ご存じなかった方は、お試しください。

また、初めてお使いになる方は、帯締めの結び目の処理はどうするのかお困りになる方がいらっしゃるようですが、
結び目は、後ろに回して、お太鼓(帯)の部分に隠します。

帯留めは難しいからと、敬遠せずに、帯留めのお洒落をお楽しみください。

月代の帯留めの紐通しについて

帯留めが再び注目されるようになり始めた中、現在は象牙や木製、陶製の帯留めなどにも金属の紐通しが接着されているものが見うけられますが、つきしろ工房の帯留めの紐通しは、彫り抜きにこだわって作ってゆきたいと思っています。

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Photo_2画像の左側の帯留めは
彫り抜きの紐通し、
右側の帯留めは
金属の紐通しを接着したもの。

真正面から見ると
同じように見えますが
着装時の帯へのフィット感に
違いが出てきます。

真横から見ると
違いがよく分かります。

Photo*

帯留めの紐通しは、彫り抜きの方法で作ってあるものと、金属製のだ円の輪の形のものを通すものとに大別できると思います。

アンティークの帯留めを見ると、彫り抜きの紐通しは、象牙の帯留めの他、木の帯留めや陶製の帯留めなどにも見ることが出来ます。

金属製の輪の形のものは、金工の帯留めに使われています。また、珊瑚や鼈甲、瑪瑙、ガラスなど、刳り抜くには、もろかったり柔らかすぎる素材のものは、裏に金属で裏打をして、そこに紐通しの金属の輪が取り付けられています。

金工の帯留めに見られる輪の紐通しは、着装時に、輪の厚みの部分だけ帯留めが帯から浮いてしまいますが、金工の帯留めは、金属という強度的に強い素材を使用しているため、帯締めに沿うような細い形のものや薄く小ぶりなものを作ることが可能です。そのため、帯からの浮きは、さほど気になりません。また、表の図柄のデザイン上の問題で、紐通しの金具部分の一部が表から見えているものも見受けられますが、金具部分が細いため気にならないのも特徴の一つと言えるでしょう。

一方、象牙や、木、陶製の帯留めは、素材の性質上、金属のように薄くすると強度的に弱くなってしまうため、ある程度の厚みを確保しなくてはなりません。しかし、これらの素材のものは、裏を彫り抜いて紐通しが作ってあるため着装時に帯留めが帯に密着して帯から浮くことはありません。

珊瑚や鼈甲、瑪瑙、ガラスなどの帯留めの裏打ちには、透かしが施されていることが多く、ものによっては、この透かしにも意匠が施され手の込んだものが見られます。この隠された美は、羽織の裏側や、着物の八掛などにも通じるところがあるように思われます。また、裏打ちの金属と表の素材は、裏打ちに付けられた爪で表の素材を固定することによって、留められていて糊などの接着剤は使われていないのも特徴の一つです。

昔のものは、素材の特性に応じて素材に合った紐通しの作り方がなされていたように思います。